星の名前を命名する話
「名前を付ける」といったときに、一番身近なものは何でしょうか。
多くの人にとっては、それは自分の子どもに対してではないでしょうか。
自分の親が自分に対してそうしてくれたように、自分も一生懸命に考えて悩んで、ひとつの名前を付ける。
命名する。それが、多くの人にとっては一番身近な、そして大切な「命名」なのではないかと思います。
では、自分からもっとも遠い命名というのは、どういうものでしょうか。
それはもしかしたら、「星に命名すること」かもしれません。
一番身近な衛星である月ですら、38万kmも離れているのです。
そして星に名前を付けることができる人というのは、非常に限られています。
そういう意味でも、星に対する命名というのは、私たちからもっとも遠くにある名前かもしれません。
しかし、星に名前を付けるというのは、誰でも一度は憧れたことがあるのではないでしょうか。
永遠の輝きと共に、自分が付けた名前が天上で存在し続ける。
それはなんと、ロマンチックで夢のあることなのでしょう。
そしてだれもが憧れるからこそ、星に対する命名権というものを売買している企業まで存在しています。
それは自分のために自分の名前を付けることもあれば、大切な人の名前を付けて、プロポーズの際などのプレゼントにしたりするそうです。
「少なくとも自分たちが生きている間には失われることがない」という輝きに価値を見出すという点では、ダイヤモンドにたいする憧れと、どこか似ているのかもしれません。
しかし一方で、天体の命名を行っている国際天文学連合(IAU)は、天体への命名権を商品として売買している企業などに関して、「そういった手順によって付けられた星の名前というものは正式ではなく、公式には何の効力もない」「夜空の美しさは、すべての人が無料で享受すべきものである」という内容の声明を出しています。
星の名前というのは、彗星に関しては発見者の名前が自動的に付けられるそうです。
そして小惑星に関しては、発見者に対して命名権が与えられるとのことです。
その際には、「16文字以内であること」などをはじめとしたいくつかの決まりがあるようですが、
その制約の範囲内であれば、好きな名前が付けられるのです。
やはり星に名前を付けるというのは、お金を出せばどうにかできるほど、簡単なことではないのですね。
それでもどうしても星に名前を付けたいという夢を諦められないのなら、天文学者になるのが一番確実な方法かもしれません。
遠くにある目標に感じるかもしれませんが、それは確かに、星のように光り輝く手段でしょう。
そして、その先に届いた命名だからこそ、それは重みがあって、光り輝く名前となるのかもしれません。
夜空に自分の名前が輝くという夢は、やはりロマンチックですね。