台風の名前はどうやって決まる? -台風命名-

台風の名前

 

平成最後の年である2018年は、日本にとっては天災に悩まされる年となりました。大規模な地震や台風が相次ぎ、「やれやれ、ようやく台風が過ぎ去ってくれた」と安心したのもつかの間、すぐに次の台風が近づいてきているという有様です。「異常気象」と言われ続けて、もはや異常であることが正常であるような気すらしてくる近年の天候ですが、今年はさすがに異常が過ぎるようにも感じます。

 

さて今年も猛威を振るっている台風ですが、実は台風にも名前が付けられていることはご存知でしょうか。現在は台風24号が過ぎ去り、安心したのも束の間、25号が近づいてきているところです。しかしこの数字とは別に、それぞれに名前が付けられているのです。例えば24号には、「チャーミー」という名前が付けられています。そして次に来る25号は「コンレイ」です。これらはそれぞれ、ベトナムの花の名前と、カンボジアの民話に登場する鬼の娘の名前です。

 

では、これらの名前はいったい、どのように命名されているのでしょうか。そもそも台風に名前を付ける習慣としての始まりは、アメリカの気象学者にあります。彼らが自分の妻やガールフレンドの名前をハリケーンに付けていた風潮が広がって、その後も女性名を付けられることが続いていました。これによって、どれがどのハリケーンであったのかの区別がしやすくなり、また馴染みやすい人名をハリケーンにつけることで、市民にも関心を持ってもらうという目的があったようです。そしてその後、女性名が多い状況は男女同権に反するという意見から、1979年からは男女の名前が交互に付けられるようになっています。

 

そのような背景があって、しばらくはアメリカが人名を付けることが続いていました。しかし2000年からは、「南シナ海や北西大西洋で発生した台風には、自分たちで名前を付けよう」というムーブが起こり、日本を含めたアジアを中心とする14の国と地域が加盟している委員会が、アジア名を付けることになりました。現在発生している台風は、この委員会によってアジア名を付けられているのですね。

 

その名前の付け方としては、実は140個の名前がすでに用意されています。そしてそれらの名前が、台風が発生するたびに順番に付けられていくという仕組みになっているのです。一番最初は、カンボジアで「象」を意味する「ダムレイ」。そして次は中国で「イソギンチャク」を意味する「ハイクイ」。このように、あらかじめ決められた名前が順番に付けられているのです。そして140個の名前が一巡りすると、またダムレイから始まるということになっています。台風は平均して1年で25.6個が発生すると言われていますので、およそ5年で名前が一周する計算となります。

 

台風には毎回困らされてばかりですが、「次の台風の名前は何かな」というふうに調べてみると、少しだけ楽しい発見があるかもしれません。