名付けの期限
どこかレストランなどで食事をとるとき、メニューを見るなり「これが美味しそうだな、これにしようっと」と即座に決められる人もいれば、「あれも美味しそうだな……あ、でもこっちのは期間限定か……あ、それも美味しそうだな……」と、メニューのページをめくっては戻ってを繰り替えす人もいますよね。こういうところにも、その人の性格が出るのかもしれません。
さて、レストランのメニューであれば、気が済むまで悩んでいてもかまいません。ランチタイムの時間が決まっていたり、お連れ様がしびれを切らしてしまう可能性はありますけれど。しかし、自分の子どもに名前を付けるときというのは、いつまでもうんうんと悩み続けることはできません。ランチのメニューよりもはるかに重要な子どもの名前ですが、役所に届けなければならない期限が決まっているのですね。具体的にいいますと、戸籍法第49条によって、赤ちゃんが生まれた日を含めて14日以内に、市区町村役場の戸籍係の窓口に出生届を提出しなければならないとされているのです。
そうはいっても、大切な大切な、自分の子どもの名前です、レストランのメニューを何往復もしてしまうようなタイプの方は、なかなか付ける名前を決めることができないかもしれません。そんな方は実は、名前欄を空欄もしくは保留のまま、出生届を提出することができるのです。その場合は名前が決まり次第、「追完届」という書類を提出して手続きを行うことになります。「それなら、まだしばらく子どもの名前を悩めるのか」と安心しそうになった方がいらっしゃるかもしれませんが、気軽にそうだとも言えません。
実は追完届で子どもに名付けた名前を提出した場合は、戸籍に新たに名前を追加した、という扱いになります。つまり、その子どもが将来戸籍を見たときに、出生届を提出した後に名前を追記したということがわかってしまいます。だからといって具体的な実害があるというわけではないかもしれませんが、やはり子どもの名付けは、出生から14日以内にしっかりと決めるのが望ましいでしょう。
さらに、正当な理由がないにもかかわらず14日以内に出生届を提出しなかった場合、戸籍法第135条により5万円以下の過料を受ける可能性があります。ここでいう「正当な理由」とは、事故や天災などの、届人の責任によらない事由によるものとされています。その際は病院や警察で「届出遅延理由書」を発行してもらい、届け出ができるようになってから14日以内に出生届とともに提出すれば問題なく受け取ってもらえます。
我が子の名前を付けるとなると、延々と悩んでしまう気持ちもよくわかります。しかし、子どもの名前を付けるという幸せにあふれた時間に、過料などの嫌な思いをしたくはありませんよね。極力、期限内に名前をつけるようにしましょう。自分たちだけでは決めきれないというときには、名付けのプロなどに相談する方法もあります。ぜひ、いろいろな意見を取り入れてみてはいかがでしょうか。